海外学振獲得への道

面接を経て,令和2年度の海外学振に晴れて合格をすることが出来ました。

そこで,ここではすでに海外にいる研究者が海外学振に応募して,面接試験を受けるために日本へ帰って,合格発表を受け取るまでの経験談をまとめようと思います。

ポスドクが海外で研究するための助成金に関して

まず,日本人のポスドクが海外で研究をしようと思った場合に,自分が応募を考えた助成金は以下の感じです。

  1. 海外学振
  2. 上原記念科学財団
  3. 東洋紡バイオテクノロジー研究財団
  4. 学振PD(3年のうち2年間は海外滞在が認められる)
  5. 学振CRD(学振採用者が応募できる海外留学用助成金

この他にも,「海外 ポスドク 助成金」などのキーワードで調べると結構色々出てきます。
自分の場合は論文の出版が遅れて,博士号の取得時期が遅れたのですが,今年の2月から東洋紡バイオテクノロジー研究財団からの助成金で1年間留学しています。
1年間の海外留学では何も身につかないと思い,初めから次の助成金をもらうことも考えて,最初はなるべく「海外留学が初めての人だけが応募出来る資金」で行こうと思っていました(上の中だと東洋紡くらい)。

海外から助成金音申請書を提出する

さてさて,前置きが長くなりましたが,そんなこんなで2019年2月末から留学をはじめ,4~6月には学振と海外学振の締め切りが迫るので,その間は中々大変でした。

英語も全く得意じゃなく,慣れない環境の中でSocial security numberの取得,家探しから契約,銀行口座の開設,研究室内での解析の環境づくりと並行して,申請書を書かないといけなかったです。1年間の留学は次の年のお金を探しつつ,環境に慣れつつ,結果を出さないといけなくなるので本当に大変だと思います。

せっかく海外にいるので,海外の助成金にも応募しようと意気込んだ時期もありましたが,英語で申請書を書くハードルが高く(自分は英語力が低いので面接が絶対無理だと思いました),割とメンタル的にいっぱいいっぱいになっていたので諦めました。

でも出せるなら条件はすごくいいものが多かったので,トライするだけでもするのはすごく将来の役にも立つと思います。

今年は結局,海外学振,学振PD,上原記念科学財団の3つに応募しました(これが全部落ちたら,次の年からニートとか普通に考えたらやばい(笑))

海外学振は,日本にいた時の研究所にまだ所属があったのでそこから提出しましたが(むしろそうしないといけない),海外の大学などの所属からなども出せるようです。

学振PDは申請先の先生の所属先から提出します。

上原も,すでに応募経験があったので,そのサイトから応募しました(日本に所属していた時の機関から提出扱いになるのかな?)。

その中でまず8月初旬に海外学振の面接候補の連絡をもらい(9月中旬に面接),9月中旬に面接を日本で受け,9月末に学振PDの面接免除合格の連絡をいただき,10月初旬に海外学振の面接採用の連絡をいただき,11月に上原から採用内定の連絡をもらいました。

 

海外学振の面接に関して

海外学振の面接は発表4分,質疑応答6分です。これは学振DC2の時も同じでしたが,発表しなければならない情報量がDC2の時に比べて段違いに多いので大変です。ただ,基本的なポイントは同じだと思うので,注意点は以下を参照してください。

baby-steps.hatenablog.com

 

海外学振の時とDC2の時の面接で大きく違うと感じたのは

・DC2の時よりも自分のこれまでの研究は増えているので盛り込むのが大変

・海外で研究する意義も入れた方が良い
ちなみに,公式の説明資料には以下のように書いてありますが,やはり海外で研究する意義は説明した方が良いと思います。
(1) これまでの研究状況(これまでの研究の背景、問題点、研究方法、研究業績等を含む)
(2)今後の研究計画
研究目的及び研究の特色を具体的に述べてください。
① 受入先の研究室(又は研究グループ)の研究と、申請者自身が取り組む研究との関係・分担について明らかにしてください。共同研究を行う場合も同様に説明してください。
② 申請者自身のアイデアやオリジナリティーについて述べてください。
③ 研究の課題(問題点)及び解決方法について説明してください。

あと,重要なこととしては留学希望先が現在所属している研究室と同じだったので,受入研究先での研究の進捗が良いことを出来るだけアピールしました。やっぱり審査員としては,海外の留学先でちゃんと研究を進められるのか?というのは一番気になるポイントだと思いますし,日本から留学する人に比べて,その部分はとても大きなアピールポイントだと思います。

 

質疑応答は6分ですが,海外学振の場合以下のような注意事項があります。

審査員より、派遣国で使用する言語(以下、「外国語」という)で質問される場合があります。その場合は、外国語で回答してください。また、審査員より日本語で質問された場合は日本語で回答して構いませんが、審査員から別途指示があった場合には、外国語で回答してください。

ただ,同様に海外から申請をしていた同期,先輩も含めて3人の情報ですが,全て日本語で質問され,日本語で回答しました(笑)。すでに海外で研究をしている場合は,英語力のテストは必要ないという考え方かもしれません。ただ,日本から応募した人の面接の話を聞いたことが無いので,英語での質問がどのような感じなのかはわかりません。
あと,ここでもやっぱり質問で「すでに留学中だが,そこでの研究の進捗はどうなっているのか?」と聞かれました。

 

ちなみに,面接の日時指定なども出来ないし,交通費なども全て自腹です。
僕の場合は幸運にも,その時期に日本で開催される学会に招待されていたため,それも絡めて帰国したことで,なんとか自腹で交通費を払わずに済みました。

また,面接の場合は資料を15部印刷して持っていく必要があるのですが,これが海外からだと結構大変そうだと思いました。海外から日本に飛ぶ場合,万が一のことを考えて,面接の数日前に着く便などにするのが普通だと思います。印刷資料と発表資料は全く同じである必要があり,印刷資料を海外から持ってきてしまうと,面接前の数日間に修正が出来ません。個人的にこれは精神衛生上よくない気がします(笑)。

その場合はコンビニとかどこかで資料を印刷することを考えた方が良いと思います。僕の場合は日本にも所属があったので,面接の前まではそこで研究していて,発表資料の印刷もそこで出来たので良かったです。