学振獲得への道

いまさらですが,How to get JSPS Research fellowをまとめておきたいと思います.
 

スケジュール

平成27年度DC採用に向けて
修士2回生の時に初めて提出出来る)
5月初旬~中旬 申請書提出(大学による)
10月中旬    合格発表(or面接候補になる)
12月頭     面接
12月末     面接の合格発表(日本国が選挙があって予算が決まってないと1月中旬くらいまでずれ込む)
2月中旬    特別研究員奨励費(科研費)申込み書類作成
3月頭     手続き書類送付①
4月頭     手続き書類送付②
4月中旬    特別研究員奨励費第1回交付内定
 

学振特別研究員(日本学術振興会 特別研究員)ってなんだ??

「我が国トップクラスの優れた若手研究者に対して,自由な発想のもとに主体的に研究課題を選びながら研究に専念する機会を与え,研究者の養成・確保を図る制度」です.砕けて言うと,国からお金をもらって研究が出来るというお話です.
大きく分けるとPDとDCに分かれます.PDは博士号を取った人が応募するもの,DCは学生が応募するものって感じです.学会に行くと優秀な発表の人は基本的に学振を取っている印象があります(取ってなくて優秀な人ももちろんいます)
 
 
のホームページにもあるように,学振を知らない人は研究者にいないような気がします.修士2回生の5月に申請書を提出するので,大学院に入学した時から着実に準備をする必要があります.自分は大学院に入学するまで学振を知りませんでした(博士課程に行くとも思ってなかったです).1回生の夏あたりで学振の存在に気づきましたが,そこからでは間に合いませんでした.DC1は落ちて,次の年のDC2の面接で受かりました.

学振に申し込む

学振に申し込むにはどうすればよいのか?
とりあえず学振HPに行きましょう.
制度の概要や,募集要項などを見ることが出来ます.
基本的には5月に申請書を提出して合格発表を待ちます. 

申請書を書く

申請書では以下のことについて記述する必要があります.
 
2,現在までの研究状況
3,これからの研究計画
(1)研究の拝啓
(2)研究目的・内容
(3)研究の特色・独創的な点
(4)年次計画
(5)人権の保護及び法令等への尊守への対応
4,研究業績
5,自己評価
 
特に,どの人も口をそろえて言うことは,
書いてあることを忠実に守れということ
具体的には,
2,現在までの研究状況
のページには小さく
 
(図表を含めてもよいので,わかりやすく記述してください.様式の変更.追加は不可)
①これまでの研究の背景,問題点,解決方策,研究目的,研究方法,特色と独創的な点について当該分野の重要文献を挙げて記述してください.
②申請者のこれまでの研究経過及び得られた結果について,問題点を含め①で記載したことと関連づけて説明してください.なお,これまでの研究結果を論文あるいは学会等で発表している場合には,申請者が担当した部分を明らかにして,それらの内容を記述してください.
 
と書いてあります.
ここに書いてあることはもれなく書いておいた方が良いです.
(もちろんこんなルールに従わなくても超絶面白い申請書が書けるなら従わなくても良いと思いますが・・・)
というのも学振の申請書は,普通の研究者が審査します.審査員もHPで公表されています.審査員は,研究の合間に何十枚もの申請書を読むことになるようです.
 
初めて研究申請書を書くような人たちが書いた幼稚な申請書を・・・です.
 
この苦悩は想像に難くありません(笑)なので,申請書は見やすく,読みやすいものにしなければなりません.そのためにルール通りに書いてあれば審査員にとってそれだけで読みやすくなります.
 
申請書を書くにあたって気を付けた方が良いことは,以下のホームページに色々と書いてありますので参考にした方が良いです.とても大事なことは,1度完成してから,色々な人(10人くらい??)に見てもらって,10回以上大幅に書き直すというくらい推敲することだと思います.
 
参考になったHP
 

学振面接

学振」とgoogleで調べると,申請書の書き方などのノウハウは山のように見つかるのですが,
面接に関してはほとんど情報がありませんでした.
特に,平成26年度から面接がポスターからパワーポイントでの発表になったので,
パワーポイントを使った面接の情報を記しておきます.
 
時間:発表4分+質疑応答6分=計10分
この10分に宝くじ並みの金額がかかっています(笑)
 
(入口が結構わかりにくいです,僕は事前に場所を確認しておいたので迷いませんでしたが,迷っていそうな人を何人も見かけました.上記の地図もすごくアバウトです(笑))
 
入口の写真です.

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面接官:大体10人程度の前で発表(事務局の人たちも含めて)
そのうち僕は1人からだけ質問を4,5個受けました.
他の人は2,3人から質問を受けたという人が多かったです.
 
面接では4分しか自分の研究を発表する時間がありません.
これでは研究の内容を詳細に伝えることは絶対できません.
なので,面接では以下のような点が求められているのかなと思います.
 
1,自分の研究をわかりやすく砕いて人に説明できるか?(研究内容を国民に分かりやすく伝える技術も必要!)
2,研究発表資料作成能力(発表資料をうまく作れるか?)
3,元気があるか?(研究者でうつ病とかになる人も多いし・・・)
4,質疑応答でしっかりと答えられるか?(申請書で気になる点の確認?)

 発表内容

発表内容は,申請書に書いた内容をそのままトレースするような発表は避けた方が良い気がします.
というのも審査員はすでに申請書を読んで研究の中身は知っているので.
僕は申請書に書いた内容は,砕いていえばこんな感じなんですよ!っていう発表を心がけました.
(4分じゃどうせ詳細に伝えられないので思い切って詳しいことはすべて省きました)
全部でスライドの枚数は9枚で,1枚1メッセージを心がけて作成しました.
発表スライドも申請書と同じで発表できるレベルになってから10回以上大幅な変更を加えるくらい推敲したほうがいいです.そうすれば多少は満足した資料が出来上がります.
しかも,何人かの前で発表練習をして意見をもらうことも大切です.
京都大学では,模擬面接をしてくれて,全く知らない研究者の前で発表する機会が得られ,研究分野が違うとこんなにも捉え方が違うのかとすごくためになりました.
発表練習は50回(発表資料が最終的に完成してから)を目安に頑張ろうと思ったのですが,喉がつぶれそうなので20回程度でやめました(笑)

質疑応答

発表時間よりも質疑応答の時間が長いのは,面接の比重が間違いなく質疑応答にあるからだと思います.質疑応答を考える上で参考になった言葉は「反対者がいても他の審査員を納得させるように反論すべし」という言葉.質疑応答で,いちゃもんのような質問をつけられた時に,焦らずに堂々と答えれば,他の審査員たちが納得してくれるかもしれません.1人に嫌われても多数から好かれればよいのです.

上記の「参考にしたHP」にも書いてあるのですが,いくつかのカテゴリーに分けて,考えられるだけ仮想質問と答えを考えておいた方がいいです.これを作っておくだけで,質疑応答の時にあまりあわてなくてすみます.自分の場合,具体的には研究の中身に関する質問が3つくらいあって,他に「あなたはこの研究のどの部分を行う計画なのか?」,「倫理は大丈夫なのか?」ということを聞かれました.研究計画がすごくでかいものだったので,「あなたはこの研究のどの部分を行う計画なのか?」という部分が必ず聞かれるだろうと先生とも話していたので,「自分じゃないとダメな理由」や「自分のバックグラウンドを活かせるのだ」ということを語りました.倫理の面は申請書の中でも結構ないがしろにされがちですが,きっちりと押さえておく必要があります.ここでうまく答えられてなかったら即死だったと思います.

 まとめ

学振に応募するためには,申請書類を書くということをしなくてはいけないため,自分の研究を客観的に見直す良い機会だと思います(これは学振に応募している人ほとんどが言ってます).

あと最後に!!

体調管理には気を付けてください.面接は12月の頭と季節の変わり目に行われるので体調を崩しやすいです.しかも,根をつめて夜遅くまで資料の直しや発表練習をしていると,喉がつぶれます(笑)僕は発表2日前くらいに風邪をひいて,最悪の体調で面接に臨むことになってしまいました.

発表資料の作成,発表練習,質疑応答対策,体調管理

この4つをきっちりとして望めば,おのずと道は開けてくると思います.

追記(2015年10月1日)

今確認したら,今年のDC2(総合)の採用者が157名になっていました.

700名中140名が一発合格,40名が面接候補だったので,17名が面接合格だったようです・・・