海外学振までの道程(受け入れ先研究室の決定から渡米まで)

留学先研究室の探し方

とても大事な,留学先研究室の探し方を書くのを忘れていたので追記。意外と長くなったので,新しく作成しました。
まず,自分は英語も得意じゃなかったので海外留学とか全く視野にも入れていなかったのですが博士課程在学中にボスから「海外で修行してこい」と言われ,Princeton大学の先生を紹介してもらいました。

Princeton大学の先生はポスドクを探していたようで,連絡を取り合った後に「博士号を取得し,自分でグラントを取れたら行く」という約束をしました。しかし,博士号の取得に想像以上に時間が経ってしまい,当初とは状況が変わってしまいPrinceton大学の先生のところにはいけなくなってしまいました。ただ,すでに海外に行くことを前提に色々とグラントを応募していたこともあって,急遽他のラボを探すことに。その時に以前から論文を読んでいてとても興味のあったラボの幾つかにメールを送り,海外で行われる学会のついでに研究室訪問をお願いしました。
メールの中身は,以下のような感じでした。

  1. 自分の研究の紹介(論文を書いていた場合はその簡単な紹介)
  2. CVとその論文を添付
  3. 先生のどの論文に興味を持ったかを記述
  4. 学会に参加する日程と,その間に研究室訪問させてもらえないか?というお願い

幸い,2つのラボから快諾の返事をいただき,学会に合わせて,ラボで研究発表をさせてもらうことが出来ました。基本的には,その研究室のラボミーティングのような時間帯で発表させてもらうことになると思うので,発表の数日前までに自分の情報や発表に関する簡単なアブストラクトを送っておくと,相手がラボメンバーに周知するときの助けになると思います。

そんなこんなで,訪問後にもメールのやりとりを幾つかして,自分のグラントが取れたら言ってよいという確約とSkypeによる簡単に会話をしました。


最後に,留学を考え始めてから,実際に渡米するまでの簡単な時系列(研究室A:現在の受け入れ研究室,研究室B:前から受け入れをお願いしていた研究室)。

2016年5月:ボスから2017年4月から研究室Bで武者修行してこいとのメール。

2016年5月~2017年1月:海外学振に投稿,不採用。学振PDの面接候補。直接雇ってもらえないか交渉。ただ,論文の査読に想像以上に時間がかかり,2017年3月に卒業は出来なさそう(この時点で,渡米後に論文が通り次第,最終審査だけ受けに日本に帰ってくることも考える)。

2017年8月10日頃:初めて研究室Aにメールを送る(次の日には返事をもらう)。すぐに11月に研究室訪問をする約束。実はこの時は単に研究室訪問が目的(研究室Bに受け入れ先のお願いをしていたので)

2017年8月12日:研究室Bから,状況が変わったため受け入れることは出来ないというメールをもらう。

2017年8月20日:改めてメールで,研究室Aに,自分が応募しようとしているグラントの説明と,もしこのグラントが取れたら研究室に入れてもらえるかを交渉(4ページほどのResearch statementなるものを作成し添付)。Research statementは自分が行っている研究のバックグラウンドや自分の興味,やってきた研究の説明,今後の研究計画,などをまとめたもの。詳しく書きすぎず自分の興味や強みを相手に伝えるのが目的。Skypeでちょっと話せないかと言われて,8月29日にSkypeの約束を取り付ける。ただ,申請予定のグラントの提出期限がもうすぐで,相手のSupport letterが必要だったので,そのSkypeで簡単に会話をした後にすぐにSupport letterを書いてもらった。Skypeでは,自分がこれまでどんな研究をしてきたのか,これからどんな研究をしたいのか,あとは趣味などの他愛のない会話も少しした記憶があります。
ということで,2017年8月は怒涛のように過ぎ去り,現在の受け入れ研究室のSupport letterをいただきました(笑)。周りで海外留学している人もどこかのタイミングで直接受け入れ先に自腹で訪問してミーティングをしたりSkypeミーティングしている人ばかりでした。

2017年11月16日:研究室訪問。研究室メンバーの前で1時間程度の発表。そのあと,軽くミーティングしたり,ラボメンバーの研究の話などを聞く。

2018年11月末:応募していたグラントの採用通知が届き,正式の渡米決定(2018年4月から1年間だけれど,渡米は遅らせることが可能)。この時点で学振PDの面接は辞退することに,というのも学振PDの場合,海外での研究は2年間になるため(自分はもう少し長く海外にいたかった)。あと,卒業には3本の論文が必要だが,この時ファースト1本,セカンド1本,2本目のファースト論文の査読が難航し,2018年9月に博士号取得を目指しているが不安(笑)。

2018年3月初旬:2本目のファースト論文を投稿(こいつがスパッと通れば9月取得に希望が)。同時に2019年4月からの海外学振に応募。この時点で採用されたグラントの延期をお願いし,9月ごろには渡米予定と連絡。

2018年3月末:投稿中の論文からpeer reviewに回るとの連絡。

2018年4月:海外学振の申請書提出

2018年4月23日:投稿中の論文からRejectの連絡。ただし,reviewerのコメントに反論が出来そうだったのでAppealの準備をすることに。エディターにはすぐにAppealの準備をしたいと連絡し,Appealの方法を教えてもらう。Appealにはとても時間がかかるという噂もあり9月卒業に不安が・・・(というより博士号の予備審査は2,3か月前に準備をし始める必要があるので本気でヤバイ)

2018年5月:学振PDの申請書提出

2018年6月:電車の中で大阪大地震に被災

2018年7月:ビザの取得のために必要なDS2019(アメリカ滞在許可証)をもらうお願い(ビザは渡航許可証で,DS2019は滞在許可証です。)

2018年7月30日Appealを投稿。

2018年8月3日:海外学振から不採用の連絡

2018年8月7日Appealで覆らずreject決定。この時点で,今年度中の渡米に不安・・・,聞いたところ最悪2019年3月までに渡米すればOKとのこと。

2018年8月8日~24日:次の投稿先に投稿。Editor kickに合う。さらに次の投稿先に投稿。もう一回Editor kickに合う。ミーティングをして新しい解析を増やして再投稿することに決定。

2018年9月8日:投稿。

2018年9月17日:peer reviewerに回るとの連絡。

2018年9月19日:もはや猶予がなくなったので大学のボスに,現在の状況で博士号の審査を受けられるか相談。reviewの結果が良さそうなら予備審査にかけてあげると言われる。10月2週までに博士論文を7割完成させろと言われるが,現状から11月2週の先行会議を目指すことに(2月に最終審査になる日程)。博士論文を書き始める。

2018年9月24日:DS2019が今年の10月からになっていたが,開始日の前後1か月以内に渡米しないといけないらしいので,日程の変更をお願いし,2019年2月に渡米時期を変更。投稿中の論文がすんなりacceptされることを祈るしかない。ただ,この論文が上手くいかなかったとき用に,impact factorが低い論文誌へ現在並行して行っている研究を早急にまとめて投稿する準備を進める。

2018年10月12日:学振PD採用の連絡を受ける。ただし,現在採用されている助成金と被ってしまうため,学振PDは採用辞退。条件は学振PDの方が良いですが,流石に渡米時期を待ってもらっておいて,採用予定の助成金を断るのは人として終わっていると判断。

2018年10月24日:2か月以内のMajor revisionを勝ち取る。

2018年11月5日:並行して進めていた論文のsubmit完了。

2018年11月24日:論文の修正が終わり,再投稿。

2018年11月25日:博士論文完成。予備審査が12月18日に決定。

2018年12月12日:博士論文草稿を副査の先生方に届ける。

2018年12月19日:再投稿した論文に関してEditorが変更するとのメール。reviewersからの返事はもう受け取ったので,現在話し合ってるとのこと。クリスマスの休みを挟むから決定はおそらく年明けになるとのこと(こっちはギリギリの綱渡りをしているのにぐぬぬ状態)。
2019年1月9日:ようやく再投稿の結果が返ってくる。1か月以内のrevision。一人のreviewerがまだ渋っていたので,大学のボスからはまだ5分5分だねと言われる。ただし,この時点で公聴会の日程が2月18日に決定。DS2019の関係上,2月中に渡米しないといけないのでギリギリにはなる。

2019年1月18日:論文の再投稿。もうここから引き返せないので,飛行機の予約と海外留学保険に入る。

2019年2月13日:ほぼacceptのminor revisionの連絡。ほぼ卒業確定。一安心。公聴会の準備も並行して進める。

2019年2月16日:並行して投稿していた別の論文のreview結果が返ってくる。おそらく通せそうな感じだったが,もう一つの論文がほぼacceptになったので,レベルを上げて投稿しなおすことに。

2019年2月17日:Minor revisionの修正を完了し,再投稿。

2019年2月18日公聴会

2019年2月21日:引っ越し。

2019年2月22日:渡米(笑)。

2019年3月15日:正式にacceptの連絡。

2019年4月:海外学振に応募。

2019年8月:面接候補に決定。

2019年9月:日本にて面接。

2019年10月:採用決定。