一般的な集中力は脳全体の機能的な結合で決まっている

この前,脳の機能的な結合の状態で個人を特定できるという論文を紹介しましたが,

 

baby-steps.hatenablog.com

 

そのグループが今度は一般的な集中力の持続能力は脳全体の機能的な結合で決まっているという論文を出しました.

http://www.nature.com/neuro/journal/vaop/ncurrelnt/full/nn.4179.htm

 

この論文ではgradCPTというタスクを使って,個人の集中力の持続能力を計測し,個人の脳全体の機能的な結合との関係が強いものを使って個人の集中力の持続能力を予測するということを行っています.

さらに,この研究では汎化性能を調べるために,課題とは独立なデータを使ったり,本当に独立なADHD患者のデータを使っています.

さらに,特定の脳内ネットワークに含まれる結合を取り除いても同じような結果が得られたことから,特定の脳内ネットワークが重要なのではなく,脳全体の結合が重要であるとしています.

このような結果から著者たちは,集中力には前頭葉が関わるという仮説ドリブンな先行研究では出ない結果であることを強調しているようです.

 

自分の研究でも集中力の持続能力と脳の機能的結合を対象としていることから,テーマもろかぶりということですごく注目しました.

内容的にも複雑な解析はほとんどなく,言いたいことも解析もすごくシンプルだという,素晴らしい研究だと感じました.

最近は複雑な機械学習法などを使って,結局何を言いたいのかわからにという研究も多くなってきていますが,

 

「素人のように考え,玄人として実行する」

 

ということがとても重要だと感じました.